เข้าสู่ระบบ頷き合い、三人一緒に歩き出す。「こんなに大人数で向かったら、バレないかしら」そう聞くと高嶺遼大が言う。「あぁ、だが、見ておきたいだろう?」そう言われればそうだ。「あのエステ店の中が、そうなのよね?」そう聞くと高嶺遼大が少し笑う。「おそらく、な。外に出るのはリスクが高い」売春、そして違法賭博それは一体、どんな場所で行われているんだろう。「だが踏み込むのはまた次の機会にするとして。今日は愛沢くるみがエステ店に入るところや出るところだけを押さえられれば良いだろう」高嶺遼大が冷静にそう言う。「サロン・ド・オーキッドの場所は把握しているのか?」湊にそう聞かれて私は頷く。「えぇ、知っているわ。加山良江が入って行ったのを偶然、見掛けたの」私がそう言うと、湊が少し笑う。「加山良江、か」監視カメラの映像を皆で共有している私たちは、愛沢くるみが加山良江に薬を渡しているあの場面を思い出していただろう。もう五年も前から、いや、もっと前から二人は知り合いだったのかもしれない。まだ二人の関係性も、二人の現状も把握出来ていないけれど。◇◇◇車の窓から車外を見る。「もう入ったかしらね」そう聞くと高嶺遼大が言う。「もう中に居るだろうな」そう言って後部座席のシートに寄り掛かる。「……どれくらい時間がかかるものなのかしら」私がそう独り言のように呟くと、男性陣二人ともがクスリと笑う。「まぁ、大抵の場合は一時間とか、そこらじゃないかと思うけどね。それでも高級売春の場合はまた違うかもしれない」高嶺遼大はそこまで言って、何かを思い付いたようだ。「そうか、聞いてみれば良いんだよな」そう言いながらスマホを操作し始める。「聞いてみればって……誰に聞く?」湊がそう聞く。私もそう思っていた。高嶺遼大が笑う。「父さんたちに、さ。帰りの時間を言っているかもしれない」そう言われて頷く。「確かにそうよね。森崎の人たちにはこんな場所にくるみが出入りしているなんて言ってないでしょうし」私がそう言うと湊が言う。「俺が途中で帰った事を森崎家の人間に言う可能性もあるもんな」高嶺遼大が電話を掛け始める。「あぁ、父さん? うん、ちょっと聞きたい事があって……愛沢くるみから帰るって連絡あった? ……うん……そうか、分かった。ありがとう」電話を切って高嶺遼大が私たちを
レストランを出る。車に乗り込むと、くるみがその体を俺に押し付けて来る。(やっぱりか……)悪い予感はしていた。二人で食事なんて久々だったからだ。俺ももうここ何年かはこうしてくるみと二人きりでは出掛けなくなっていた。忙しいと言い訳をして、逃げ回っていた。だからこそ、だ。今日という日をくるみは逃さないだろうと踏んだが、やはりそうだった。食事に誘い、プレゼントを用意し、くるみをもてなしたのだ、本人は既に俺を手にしていて、それを確実なものにしようと思っているだろうと思っていた。「くるみね……」くるみがそう言いながら俺を見上げた時だった。スマホがけたたましく鳴る。俺はスマホを見る。わざわざくるみに見えるように。スマホには大きく“聖カトリーナ”と表示されている。「くるみ、ちょっとごめんな」俺はそう言って、くるみの体から少し離れて電話に出る。「もしもし」そう低い声でそう言うと、電話の向こうで高嶺遼大が形式的に言う。「久遠先生、夜分遅くに申し訳ありません、ですがこちらでは手に負えない状況になってしまっていて」そういう声を聞いて安堵から少し笑いそうになって、顔を引き締め、答える。「あぁ、そうか。分かった」そう言いながらわざとらしく時計を見る。「ここからなら……飛ばせばそうだな、五分くらいで行ける」そう言うと電話の向こうで高嶺遼大が言う。「それでは久遠先生、よろしくお願いします」そういう声を聞いて電話を切る。一呼吸おいて、くるみを見ながら言う。「悪い、呼び出しだ」そう言うとくるみは残念そうに俯く。「えぇ、聞こえてたわ」(あぁ、そうだろうな、俺の横でずっと聞き耳を立てていたもんな)「止めてくれ」俺はそう言って車を止めさせる。「俺はこのまま病院へ向かうから、くるみはこのままこの車で家に帰ってくれ」くるみにそう言って、俺は車のドアを開ける。振り返り、くるみに微笑む。「ごめんな」そう言うとくるみは少し寂しそうに微笑んで頷く。「うん……」今までならここで“今度また埋め合わせはするから”とか何とか言っていただろう。だが俺はそれを言えなかった。そのまま車の扉を閉め、車を見送りながら電話を掛ける。数回の呼び出し音の後、相手が出る。「もしもし」そう言うと向こうから返事が来る。「抜け出せたか?」少し笑ってそう言う声に俺も笑う。「あぁ、助
さすがは夫婦といったところだろうか。あの短時間で望美さんを説得出来た父さんはすごいなと思いながら燈の居るリビングへ行く。父さんと望美さんにはこの事に協力して貰わないといけない。愛沢くるみが食事から戻って来ても、その異変に気付かない程度には、望美さんにも愛沢くるみの相手をして貰わないといけないのだから。その為に父さんと望美さんはまだ書斎で話し合っている。その辺りの匙加減は父さんに任せて大丈夫だろう。俺たちは愛沢くるみが戻って来るまでに、ここを出ないといけない。「そうなのね! じゃあ、今度一緒に行きましょう?」燈の声が聞こえる。(何を話してるんだ?)そう思って立ち止まる。扉の向こうで燈が言う。「あ、でも。くるみちゃんは焼きもち焼きかもしれないから、くるみちゃんには内緒にしましょう?」燈はそう言っている。リビングを覗く。燈は加山良江の手を取って言う。「あなたが久遠家から出て森崎家へ行ってしまった事、全然知らなくて、最初聞いた時は驚いたのよ? あなたにはお世話になったし、そのお返しもしたいから、今度、佐伯家へいっらしゃいな」無邪気さを装ってそう言っている燈に、少し笑う。(やれば出来るじゃないか)愛沢くるみというお手本が居るんだから、それをなぞるのは容易いだろう。スマホが震える。メッセージだ。~嫌な予感がする。頃合いを見計らって、電話を鳴らしてくれ~湊くんからのそんなメッセージを読んで笑う。(確かに、な)愛沢くるみは今や、毒婦だ。俺たちの共通認識として、そして俺たちの共通の敵として、警戒しておく必要はあるだろうし、その毒婦と一緒に居るのだから、その触手が自分に伸びて来ている今、全てを秘密裏に進めている以上、強い拒否は出来ないだろう。俺はリビングに入る。「燈」呼び掛けると燈はパッと微笑み、言う。「遼大」そんな顔を見ると、俺も嬉しくなってしまう。「そろそろ、お暇しよう。病院に戻って、調べないといけない事もある」そう言うと燈が一瞬、その瞳に強い光を走らせ、頷く。「えぇ、分かったわ」そう言って加山良江を見た燈は加山良江に言う。「ねぇ、約束よ? 今度、佐伯家に遊びに来てね。くるみちゃんには内緒で!」加山良江は苦笑いして頷く。「はい、燈お嬢様……」◇◇◇森崎家を出る。「何か見つけた?」私がそう聞くと高嶺遼大が頷く。「あぁ、見つ
手元のスマホが光る。くるみに気付かれないようにマナーモードに切り替えてあったスマホにメッセージが入った事を知らせている。~完了。撤収する~高嶺遼大だ。それを読んで、俺は一息つく。この地獄のような空間から脱出出来ると思った俺は、そんなふうに思っている事に気付いて、目の前のくるみを空恐ろしく感じた。俺は微笑んで言う。「俺があげたカバン、開けてみて欲しいな」そう言うとレストランの中にまでわざわざ持って来ていた真っ赤なショッパーを嬉しそうに取り出すくるみ。くるみは真っ赤なショッパーから布の袋に包まれた真っ赤なカバンを取り出す。イルミの新作、それも限定品。真っ赤なバッグはくるみの虚栄心を満たしたようで、くるみは満面の笑みで俺に言う。「ありがとう、湊」すごく嬉しそうなくるみを見て、俺は腹の中でそんな顔をしているくるみに吐き気がした。(本当に強欲なんだな……今まで気付かなかったのが不思議なくらいだ)食事はもう終わり、デザートまで食べ終わっている。今日はこのままくるみを家まで送り届けて任務完了だが。(一応、策は取っておくか)そう考えて、俺は高嶺遼大にメッセージを送っておく。◇◇◇「私も行ってみようかなって思ってたところだったの。エステって気になるじゃない?」私がそう言うと、加山良江が顔を上げて言う。「燈お嬢様には! ……燈お嬢様には必要無いと思います……」最後は消え入るような声だった。(サロン・ド・オーキッドには行って欲しく無いのよね、色々な事が私にバレてしまうもの)そう思いながら私は笑って言う。「そうかしら? 必要無いって言って貰えて嬉しいけれど」無邪気さを装ってそう言う。私が何かを掴んでいると加山良江に悟られてはいけない。この場で加山良江を説得なり、取り込むなり出来ない以上、ここから私たちが出たら、加山良江は必ず、愛沢くるみにその事を告げ口するだろう。私と会話している加山良江にとっても、そして私にとっても、私が何も知らないお嬢様で居る方が、この先、動きやすくなる。◇◇◇クローゼットを閉めようと思った時だった。ん?ふと気になった“愛欲の女王”の奥に隠すようにしまわれている茶封筒。A4サイズのそれを手に取り、中を開けてみる。出て来たのは颯太の死亡診断書。多臓器不全そう書かれている。人の死因は何も一つだけじゃない。色々な事が重なり合
そう言いながら可憐に俯くくるみを見て、俺は今までそんな自分を卑下する態度のくるみに同情して来たんだなと思う。「時間が必要なんだよ、燈にも色々整理する時間がね」俺はくるみに微笑みかけながら言う。「待ってあげよう、燈が今を受け入れられるように」そう言いながら俺は今の言葉を内心で笑う。自分で言っておきながら、どうしてこうも上から目線だったのか、と恥ずかしくなる。「そうね、燈ちゃんにも時間は必要よね……今の燈ちゃんは色んな事を忘れる為にお仕事頑張ってるみたいだし」(色々な事を忘れる為に、か)くるみのその言葉を聞き、俺は苦笑いする。◇◇◇「この間ね、偶然なんだけど」そう言って私は加山良江に話を切り出す。「街であなたを見掛けたの」私が事も無げにそう言ったのを聞いて、加山良江の顔が強張る。「……そうですか」それだけ言って、何も言わない。私は更に続ける。「エステ店かしら……サロン・ド・オーキッドっていうお店の名が大々的に出ているビルに入って行ったわよね?」そう聞くと加山良江の表情が暗くなる。「……はい」小さな震える声でそう返事をする加山良江に、私は無邪気さを装って言う。「エステに通っているなんて、森崎家の人は充分なお給金を加山さんに出しているのね」加山良江が苦笑いする。「遼大にね、聞いたの。サロン・ド・オーキッドっていうお店について」私がそう言った事で加山良江はまた体を硬くする。「でもね、遼大は何も教えてくれなくて」そう言って私は加山良江に聞く。「ねぇ、あのお店、どう? エステの腕は確かなの?」私だって普段はこんなふうに振る舞ったりはしないけれど、それでも“ちゃんとした”令嬢なのだ。令嬢らしく振る舞う事なんて、簡単だ。何しろ、愛沢くるみというお手本が居るんだから。加山良江は俯いていて何も言わない。(何も言えないわよね……サロン・ド・オーキッドは普通のエステ店では無いのだから)◇◇◇「じゃあ……颯太が死んだのは佐伯燈のせいじゃ無かったという事、なの……?」まるで自分自身に問いかけるようにそう言う望美さんに俺は頷く。「そうです。颯太の死には別の人物の悪意が隠されている。それもかなり巧妙に」わなわなと震えている望美さんを見て、俺は溜息をついて、父さんを見る。父さんが優しく微笑み、言う。「遼大、お前は行きなさい。後は俺から
書斎に入った俺たちは憤慨している様子の望美さんに座るように父さんが促している。「どういう事ですか? あの女を家に入れるなんて」そう言った望美さんに父さんがぴしゃりと言う。「そういう言い方は止めなさい」父さんに今までそんなふうに言われた事が無かったんだろう、望美さんは驚いている。「……一体、何が起こっているんです?」父さんはそう言う望美さんに言う。「お前に話さないといけない事があるが」そう言って父さんは望美さんを見る。「まずは燈ちゃんの事を“あの女”などと呼ぶ事は今後、許さんからな」父さんにそう言われて更に望美さんが驚く。俺はそんな望美さんに言う。「まず、事実だけ、先に伝えます」俺が話し出すと、望美さんがそんな俺を見る。「まず、大事な事は。俺がEMSO(アイゼンバーグ医療戦略機構)という世界最高峰の研究機関で責任者を任されているという事と、そのEMSOで燈が主任を務めているという事です」望美さんが聞く。「それが何?」ここを理解出来ていなければ、話が進まない。「端的に言うと、燈は天才医師です」俺がそう言った事でまた望美さんが驚く。俺は少し笑って続ける。「燈は元々、優秀な医師だったんですよ。望美さんが知っているように、久遠家の湊くんは今、聖カトリーナで脳外科医のエースと言われていますが、その湊くんを超えるのが燈です」父さんが書斎のデスクの上に置かれている新聞記事を望美さんに渡す。その新聞記事には大きく見出しが載っている。~またあの天才医師Xが快挙!~~世界最高峰の難手術! 天才医師Xが成功させる!~~難手術を次々と成功させる天才医師Xとは、一体誰なのか?~「お前は世間に疎いからな、知らなかっただろうが、今、医療界を席巻している天才医師っていうのが燈ちゃんなんだ」父さんがそう言う。望美さんは新聞を脇に投げて言う。「だから何だというんです? 颯太を助けられなかったんだから、そんな事に意味なんて無いでしょう?」確かに、上辺だけを見ればそうだ。一理ある。俺は一息、間を置いて言う。「じゃあ、その天才医師が何故、颯太を助けられなかったか」俺は望美さんを見る。「その陰に暗躍した人物が居たとしたら?」俺がそう言うと望美さんが少し笑う。「暗躍? 一体、何の話をしているの?」望美さんは世間知らずで、生粋のお嬢様だ。そういう甘